ChatGPTが注目を集める中、2023年3月1日に「ChatGPT API」がリリースされました。それ以降、多くのユーザーがAIチャットの利便性に魅了され、さまざまなアプリケーションでAIを活用したいと考えるようになりました。僕もその一人で、ObsidianやCursorといった開発ツール内で、普段から課金しているClaude ProやChatGPT Plusを直接利用できないかと模索していました。しかし、その過程で大きな課題に直面したのです。
結論

アプリ内から課金したAIチャットを利用することはできません
具体的にはObsidianとCursorに課金したAIチャットを繋げて記事作成したりコード書かせたりできません
APIに別途お金を支払って別枠の利用になりますちくしょう
AIのバージョンに拘らないならObsidian内でAIチャットを使えます。ただ個人的に古いAIを使うことに価値を感じません。単に整理するだけなら良いと思いますが、記事作成のクオリティを上げたい場合は価値が無いです。
そもそもAPIとは何か?
APIとは「Application Programming Interface」の略で、アプリケーション間で情報をやり取りし、連携を可能にするインターフェースを意味します。簡単に言えば、異なるソフトウェア同士が会話するための「共通言語」のようなものです。AIチャットの場合、アプリケーションからAIサービスに指示を送り、生成されたテキストを受け取る仕組みを提供しています。
多くの場合はAPIキーというものを発行してアプリ側などに入力してパスを繋げて機能を利用することができます。
AIチャットの利用方法:3つのパターン
現在、AIチャットを利用する方法は大きく3つに分かれています。
- ブラウザ版(ChatGPT Plus、Claude Proなど)
- 月額固定料金(20ドル程度)
- ブラウザから直接利用
- 使用回数の制限あり(ただし一般的な利用では十分)
- API利用(従量課金制)
- ChatGPT APIには、利用開始時に無料クレジットが付与される場合がありますが、2025年現在、標準的な無料トライアル(例: 5ドル分)は明記されていません。使った分だけ支払う従量課金制で、モデルにより入力トークンあたり0.10ドルから2ドル、出力トークンあたり0.40ドルから8ドル程度の料金が発生します。
- アプリケーションに組み込んで利用可能
- アプリ内蔵AI(無料版)
- アプリに標準搭載されている無料AIチャット
- 性能は有料版に比べて劣る場合が多い
Obsidianで直面した壁
理想:NotionのようなAI統合体験
Obsidian内でAIチャットを利用すること自体は可能です。ObsidianのCopilotプラグインを使用すれば、Copilot ChatウィンドウでAIと直接チャットできます。このプラグインはOpenAI、Azure、Google、Claude 3などのモデルをサポートしており、APIキーを設定することで利用可能です。
しかし、ここで問題が発生します。
- 無料枠の制限:プラグインで使える無料AIは性能が限定的
- 課金の二重化:既にClaude ProやChatGPT Plusに課金しているのに、APIでも別途課金が必要
現実:APIキーを使った従量課金
APIキーを作成し、Obsidianの設定画面に貼り付けてアクティブにすることで、高性能なAIを利用できます。しかし、これは結局「別途API料金を支払う」ことを意味します。
逆のアプローチ「MCPという可能性」
MCPとは?
Model Context Protocol (MCP)は、データソースとAIツール間の安全な双方向接続を可能にするオープン標準です。MCPの開発者は、このプロトコルがLanguage Server Protocol (LSP)のメッセージフロー概念を意図的に再利用し、JSON-RPC 2.0で運ばれる仕組みであると指摘しています。これにより、AIチャットからアプリケーションを操作することが可能になります。

難しいけどMCPという技術を使えばAIとアプリを繋げたり、AIがPCのファイルを編集できます
Claude DesktopからObsidianを操作
実際に、Claude DesktopにMCPを設定すれば、以下のような操作が可能です。
- 「Obsidianの〇〇ファイルを開いて」
- 「このノートを要約して新しいファイルに保存して」
- 「関連するノートを検索して」
複数のオープンソースのMCPサーバー(例: smithery-ai/mcp-obsidian)を活用することで、Claude DesktopがObsidianのMarkdownノートを読み取り、検索できるようになります。しかし、これも完璧ではありません。
- Claude Desktopにファイルが直接表示されるわけではない
- 毎回ファイル名を指定する必要がある
- 結局、ファイルをコピー&ペーストした方が早い場合も
さらに、2025年4月以降、セキュリティ研究者によりMCPの複数のセキュリティ問題が指摘されています。これにはプロンプトインジェクション、キー管理の脆弱性、アクセス制御の不備などが含まれ、データ漏洩のリスクを伴います。

ターミナルとか普段使っている人はしっくり来るかもしれませんが、非エンジニアの人にとって書類などが視覚的に一覧として表示されていないとかなり使いにくいと思います
NotionやObsidianの左サイドバーが無い状態で編集すると考えると面倒さがわかると思います
Cursorでも同じ壁に
Cursorの料金体系
Cursorの料金体系は以下の通りです。
- Hobby(無料):
エージェントリクエストとタブ補完に制限あり。2週間のProトライアルを含む。 - Pro(20ドル/月):
エージェントの拡張制限、無制限タブ補完、Background Agents、Bug Bot、最大コンテキストウィンドウへのアクセス。 - Ultra(200ドル/月):
Proの機能に加え、OpenAI、Claude、Geminiモデルの20倍の使用量と新機能への優先アクセス。cursor.com
APIキーをアクティブにすることで従量課金制でAIを利用できますが、いくつかの重要なCursor機能(TabやチャットからのApplyを含む)はカスタムモデルによって駆動されており、APIキーでの課金はできません。人によってはCursorを使うメリットが減るとも言えます。
現時点での結論
できること・できないこと
できること
- APIを使えば、アプリ内で高性能AIを利用可能
- MCPを使えば、AIチャットからアプリを操作可能(ただしセキュリティリスクを考慮)
- 無料版AI(古いAI)なら、追加費用なしで基本的な機能を利用可能
できないこと
- ブラウザ版の課金(ChatGPT Plus、Claude Pro)をアプリ内で直接利用
- API料金を避けて高性能AIをアプリ内で使用
- シームレスな統合体験(現時点では)
今後の展望
MCPにはセキュリティ上の課題が残っていますが、技術は日々進化しています。将来的には、以下のような改善が期待されます。
- ブラウザ版課金とAPI利用の統合(例: ObsidianのプラグインでCursorのようなAI編集体験を提供するSmart Composerなどの進展)
- より使いやすいMCPクライアントの登場(例: 企業向けのセキュアな実装)
- アプリ側のAI統合機能の充実(例: 2025年のAI生産性ツールスタックでの統合強化)

根本的にAIチャットそのものにAPIが発行できるようになればアプリ側から使えると思いますが、AI全体が次の段階へいかないと難しそうな気がします。かなり先だと思います
まとめ:現実的な選択肢
現時点で、課金AIチャットをアプリ内で使いたい場合の現実的な選択肢は無いという結論です。APIを別途契約して組み込む、もしくは素直にNotion AIを使うべきです。Obsidianのようなマークダウン形式でゴリゴリかけるテキストエディアでAIをフルに活用したい場合はコピペやmdファイルを投げ込むような使い方になります。
AIツールの便利さを考えれば、ある程度のAPI追加コストは投資として価値があるかもしれません。技術の進化は速く、今は壁に感じることも、近い将来には解決される可能性があります。それまでは、自分の使用頻度とニーズに合わせて、最適な方法を選択することが重要です。
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