Webの制作現場から離れて2年ほど経っています。現在はまったく関係ない業種で生活費を稼ぎ、アフィリエイトで家賃分ほどをまかないながらのんびり充実した生活を送っています。
いわゆるクリエイティブ関係の仕事と、一般的な業種とでは時間の使い方やプライベートに関わる生活が大きく違うことが辞めた今よくわかります。
自分のスキルや過ごしたい生活の仕方などを考えた末に引退したわけですが、原因の一つとしてエンジニアの需要の低下も関係しています。Web系とは別のエンジニア(サーバー系や医療などの特定企業のプログラマ)は今後とも需要が拡大すると思われます。あくまでも広告関連や通常Webサイトなどのフロント側の視点で記事を記載しています。
個人事業主になり、1日24時間すべてが仕事の生活に疲れた
経歴を簡潔に紹介しますと「映像(CM/PV制作)→企業のWeb制作部署(デザイン&コーディング)→独立(D&Webデザイン&コーディング)」という流れです。デザイン力を基軸として活動していたので時代の流れに沿ってWeb系に移っています。HTMLコーディングやWordpressは30代過ぎてから習得することになったのですが肌にあっていたのか嬉々として勉強できました。
上記の業務に携わっている間はディレクターさんがいたり、某広告代理店がいたり、クライアントがいたり…デザイン系の専門学校へ通っている方たちが目指すような業界で過ごしていたわけです。
有名人や、すごく予算のかかったイベントなど普段見ることのできない世界は非常に魅力的ですが、あらゆる事にマンパワーが必要。しかし実働しているクリエイターやエンジニアはごく少数のため個々への負担が非常に高いものでした。明らかに予算は多いのですが必要機材など特定の絶対に費用を削れない箇所へ予算をつぎ込み、裏方であるクリエイターやエンジニアまでは絞りカスのような予算しかおりてきません(もちろん中抜きもされています)。人員不足によって必然的に残業が増え眠れなくなります。
独立しフリーランスとしてWeb制作を受注することになると自由時間は増えます。ただし自由時間が欲しい場合はフリーランス存続に関する覚悟が必要です。何もしないと当然のごとくお金が発生せず食べ物も買えなくなります。また、報酬の支払いは納品して1ヶ月後くらいに振り込まれるのでその辺りの時差が辛かったりもします。長期的に休むぞ!っと意気込んでも「一度依頼を断ると次は無い」といった状態もおおいにありえるため依頼があったらとにかく仕事をする必要が出てきます。
個人のブランド的な地位を確立すればある程度予算も増え自由時間を増やすことが可能ですがかなり限られた人のみの特権かと思います。
プライベートと仕事が一緒になってしまう最悪の事態に
①友人関係
友人関係が業種内に限られてしまいました。飲み会やパーティ、BBQなど楽しいひとときではありますが仕事関係の人ばかりです。交流はとにかく増えて週1で何かしら飲んでいましたが、腹の中では“営業”という言葉がつねに付きまといます。
交流が増えることは良いことではあるのですが趣味が合うことが少ないのです。なんでしょう「意識高い系」といえばよいのでしょうか、ついていけない事が多いです。
②即レスの意識
常に連絡の確認をする必要があります。基本的に連絡があれば早急に返答して、修正対応などしなければなりません。日中であればまだいいのですが普通に19時過ぎでも連絡してきます。リリース直前などは夜中でも平気で対応を求めてきます。チャットという便利なツールが活用され始めたのも拍車をかけています。
そのため眠りが浅くなり、寝れる時に小刻みに寝る…と生活リズムがおかしくなっていきます。
人の生活に重要なものが消耗されていく
まず第一に24時間連絡を気にしなければいけないことは相当なストレスになります。決まった時間帯だけ働き、完全に仕事を忘れてリフレッシュ、または家族と遊ぶ事は人として正しく生きるために必要なことだと思います。クリエイティブ系や個人事業主は自由時間が不確定になり、自分だけでなく「家族」までも振り回すことになってしまいストレスを伝染させてしまいます。
独り身であったり、より良い仕事を受注するために数年頑張ることは大事ですが『一生今の状態が続く』事を考えてしまうと正直もう死んでいる気にさえなってしまいます。どこかで安定した生活を遅れる仕組みを作らなければなりません。
『生活のために働く』という考えが覆されないように上手く計画をたてるべきです。
しかし、クリエイティブ系とIT系は今後安定した生活を送ることは困難になることでしょう。その事については下記に続きます。
この業種は将来性が絶望的で、奴隷のような派遣形態で終わりが始まっている
色々考えた末、特にIT関係は将来的に絶望的な状況になり突然食べていけなくなる日が来るだろうと結論を出しました。もちろん仕事がなくなるわけでは無く『格差が大きく広がる』と危惧しています。
現在でもオペレーター職と呼ばれるものがあり、業界内のヒエラルキーでは下位に位置しますが「今活躍している人もオペレーター職になってしまう」状況になると思われます。例えばWebデザイナーはユーザーに有益な情報を与えるためのサイトデザインを提案しますが、今はもうほぼ固定のデザインになってしまっています。スマホに対応するデザインを考えたりするとどうしても同じようなデザインに偏ってしまう…という事もありますが、Webサイトの主体は商品やライティングなのでそもそも凝った作りを必要としません。一時Flash全盛期辺りでは動的なごちゃごちゃとしたデザインが流行りましたが、今では大手企業のPV的なペラページでしか予算をかけていない所が多いと思います。
今はバナー+テキストの繰り返しが主流で、デザイナーの仕事といえばバナー作りがメインになってしまっています。サイトデザインはテンプレートをちょっといじるだけで事足りてしまっているのが現状です。
- 以前は専門職が時間をかけて作るべきだったものがテンプレート化されてしまっている
- 商材をPRするにはサイト構成+ライティングが重要である。結果としてエンジニアが関わる箇所は最低限で良いため予算を掛ける必要がない
この2点はかなり致命的な問題だと思っています。様々なすごそうな機能を付けるというハッタリが効かなくなっています。
今後も食べていける人
もちろん全ての人が食べていけなくなると思っているわけではありません。一部の人にとっては快適な未来が待ち受けていると考えます。それは下記条件に当たる人です。
- 自社サービスを展開し続け、お金を産み出すことができる企業に努めている者
- 上記に該当する企業から直接受託できる者
自社でユーザーを抱えることができるサービスを開発・運営できる企業に努めることで今後も第一線で良い待遇を受けながら生活を送ることでできるでしょう。こういった企業へいかにして入り込むか…それは己の技術力を高める、またはコネクションを活用するしかありません。
今現在、30代を過ぎて中小企業から案件を受けたり、少額なギャラを積み重ねてコツコツ稼いでいる人は淘汰される可能性があると思います。特別な技術を持ち合わせていない限り、優良企業は若手を育てるはずです。もし焦るのであれば勉強会などへ参加して友人を沢山作る必要があるでしょう。
耳あたりの良い高単価派遣という奴隷制度
優良な派遣会社はもちろんありますが全て「派遣業者=奴隷商人」だと思います。やっていることは合法的な人身売買です。今はすでに下火傾向にあるかもしれませんが5年ほど前、急速にIT派遣ブームが起こり、ITベンチャーの方々がこぞってエンジニアをかき集め始めました。これは単純に『お金になる』からです。人一人を紹介するだけで50万〜ほどの収入、毎月のマージン、正社員転用時の契約金(名称は知らない)など多額のお金が動きます。
例えば月30万貰える方は派遣先は60万ほどのお金を派遣元に支払っています。もし、正社員へ引き抜かれた場合は別途半年分の大金が派遣元へ支払われます。これらは1銭も派遣者には支払われません。
優良企業へ紹介してもらえるメリットがあるので素早く働きたい人にとって手っ取り早い仕組みですが、搾取されているということを忘れないで頂きたい。そして、派遣元は業界の知識がほぼ0ですのでただたんに横流しするだけで頼りにならない人が多い事も念頭にいれておく必要があります。
もし、派遣先から正社員への誘いがあった場合は条件をしっかり聞いてから正社員になりましょう。給与は派遣先からもらっている金額よりも多く貰えるように交渉しましょう。
IT系で派遣を利用している方の多くは正社員として束縛されたくないから…という方も多いと思います。しかし、チャンスがあればなるべく早い段階で正社員になったほうがよろしいと思います。ちなみに僕は正社員は絶対に嫌でした。誘われはしましたが契約更新のタイミングで辞めて独立。独立後にその派遣先、またはそこで繋がった企業さんから個人事業主として仕事をもらう…というやり方です。
派遣とは異なる人財紹介
派遣とは異なり、単に人財を募集している企業へエンジニアを紹介する仲介企業も増えています。これも紹介の際に金銭の取引が行われており、派遣の紹介料と同等のやり取りが行われています。派遣と違う点は月間マージンが取られないこと、そして紹介した企業はその後のフォローをしない点が特徴です。この派遣と異なる紹介のやり口がITベンチャー内でかなりブームになっています。完全に横流しするだけの作業なので、担当が無知すぎる可能性があります。
求人サイトのようなものを作成しエンジニアをかき集めて多企業へ紹介するところから、人脈を利用した信用のある交渉に分かれます。求人サイトのようなものへ登録するのは正直不安な面が多いです。企業側が登録するサイト系で業務待遇や募集要項をしっかり紹介している場合は把握しやすいのですが、エンジニア自身が登録するだけで案件先を紹介される場合は不透明な点が多すぎます。
コネクションによる紹介はオススメ
友人・知人、または取引を行ったことがある方からの場合はこちらのスキルを把握した上で紹介しているので条件が良い場合が多いように感じます。僕も以前紹介されたことがあり、その時はプロジェクトが大きすぎて断りましたが、某赤いロゴの大手企業からのディレクター案件でした。
これも仲介に入っている企業に紹介金のようなものが発生しますが有意義な人財紹介の方法だと思えます。ただし、紹介の紹介の場合は仲介に入っている人達がどのような企業に努めているのか注意する必要があります。
昔以上に予算が分配されている
派遣業の乱立するということはお金の流れる場所が増えたということです。ただでさえ制作現場へお金が来ないのに更にお金がかかっているのが現状です。人財確保にお金をかけるのは当然ですが、派遣業に割くのは業界にとって何の利益もありません。高単価派遣などうたい、見栄えのいいサイトで人を紹介する大手の派遣会社がありますが、派遣者や業界に関係のない場所への無駄な出費が増えていると考えたほうが良いと思います。
入れ替わり立ち替わりの人財に対して多額の出費をし、成長したエンジニアを確保し続けないのですよ?今現在も派遣を活用している企業はどんどん疲弊しているのではないでしょうか。
ビジュアルは重要でないことがバレている。ライトなサイト需要はあるが単価は下がる
黎明期ではちょっとした動きなどでも人の目に触れるので動的な要素は広告として活用できました。今では大したことがないことでも大きな予算を頂けたわけです。
かなり初期になりますがGIFアニメーションを作るだけでも100万単位の時代がありました。昔はお金が取れた技術でも今は単価が低く、それでも手間はそれほど短縮できていない技術も存在します。
そういった当たり前過ぎてついでに実装しておいてといったものが多くあり負担が増えている事情がありますが、それは置いておいて…今はそもそも『オシャレ≠コンバージョン』ということが広まっているように思います。アニメーションを入れるだとか、凝ったサイトデザインなどお金が取れた部分が不必要になっており全体的な単価が下がっていっています。
企業がWebページを作るということは売上を上げたいわけです。まとめサイトやSNSなどスマホで簡潔に情報がわかる事に慣れ始めているユーザーに対しての魅せ方が昔と変わってきています。Webページで成果を上げたいのであれば「ユーザーに良く思わせる」必要があるわけですが、最も重要なのは「ページ構成」と「コピーライティング」の2つです。
見た目などは落ちているテンプレートの画像を張り替えるだけで事足り、そのカスタマイズ費用だけもらうというエンジニアにとっては低単価の仕事ばかりが増えています。なんならWordのような写真と文章だけのシンプルな構成だけでも良いわけです。
新しい商品を販売する場合にはLPと呼ばれるペラページが盛んですが見た目なんてほぼ固定化されています。そこでも重要になっているのはライティング技術です。
ライトなサイトの需要の低下
新たな企業が出現し、コーポレートサイトが必ず必要な時代ですが独自性を求めるものの基本的な無料テンプレートを使用したもので十分満足できるほど便利な時代です。小規模なコーポレートサイトの需要がなくなる事は無いはずですが、超低単価、もしくは無料サイトで勝手に作れるようになっていくため受注するには単価が割に合わなくなる時代になっていくと思います。というか、すでになっていますね。
今後はライト層のデザイン・コーダー需要は無くなっていく
いわゆるホームページを作成している人達の仕事は減る一方で、それを志す人達が増えているため争奪戦になります。保守などで絶対に仕事が無くならないという状況の方以外はどんどん焦る業界になると思われます。
まずサイト制作は非常に簡単である程度の知識と必要なツールさえ知ってしまえばコーポレートサイトからECサイトまで幅広く簡単に作れてしまいます。習得のハードルが低いためIT推進の波を受けてエンジニアが乱立するのではと危惧しています。
もし今後もIT系で食っていくのであれば様々なシステムに対応できるプログラマーでないと食べていけないでしょう。もしくはマーケティングなど企業の売上に直接影響するスキルを習得していないと厳しいと思います。
WordPressですごいサイトが作れる…そんなエンジニアはもうすでに要らない時代が来ているのではないでしょうか。
絶対に無くならない、または今後需要が増えるであろう人達
- プロデューサー/ディレクター
- SE/プログラマー
- コピーライター
- カメラマン
- イラストレーター
この辺りの方たちは今後もどんどん活躍できるはずです。Web屋をやっていて特に感じたのはコピーライターの重要性がすごく高いこと。どのような媒体でも活躍できます。カメラマンやイラストレーターは需要が増えるというより、これまで通り一定の需要が続くといった感じです。
プロデューサー/ディレクター、SE/プログラマーなどこの辺りは何事にも必ず必要な方たちなので新たなサービスが産まれたり、保守のために常に一定の需要があるでしょう。
ディレクターに関しては今がチャンスだと思っています。意外とWebの知識がなくてディレクションをやっている方が多いので、現在最前線で活躍しているデザイナー/コーダーはディレクターを目指すべきです。
僕の理想の生活スタイル
- お金は多いほどあればいいが、生きていく最低限で良い
- 固定の休みの日や、連休を取る
- 一日に必ず自由時間を取る
- 結婚し子供と遊ぶ
これは多分普通のことであり、The一般人の生き方です。特別に難しい項目はありません。これらはIT関係の仕事を辞めたことで“子供と遊ぶ”という事意外は全て達成できました。
今は一日の自由時間を使って、DIYで家具を作ったり、Web制作で培った知識を活用してアフィリエイトサイトをちょびちょび作っています。
企業からお金をもらっていた技術力を自分のために活用しようよ
Webデザイナーやコーダーをやっていた方は是非アフィリエイトをやることをお勧めします。会社に努めている・個人事業主のどちらの方もです。まず確定申告で控除が付けれるようになり税金対策にもなります。
普段作っていた技術は普通の人からしたら凄い技術なのです。並大抵の努力と時間では培えない知識なのです。難しいのは「指示されて作っていた」事を「自分で考えて作る」に転換すること。作る時間は他の方に比べたら大幅に短縮できるのでじっくりコンテンツを考えて大規模なアフィリエイトサイトを作ることが可能です。業界内で出会ったプロの方に外注で頼むことができるのも大きな武器です。
僕のような末端の人間でも月間PV300万くらいの結果を出せるので多くの方にチャンスがある世界だと思います。ガッツリ儲けようと思わなくて良いのですよ。毎月5万くらいは何もしなくても収入がある仕組みを作るだけでも凄く余裕ができます。
色々と勉強が必要ではありますが、技術という最も最大の難関をクリアできている方々は成功が速いはず。
自分が自分らしく生きるために大事なものは何なのか。それを見つけることはとても大切なことだと思います。僕は見つけたのでお先に引退させて頂きます。
コメント