世の旦那さんが出産で覚悟が必要かもしれない”立会い”。昨今は立会う男性が多くなっていると思いますが、私も出産に立会ってきました。
実は妻の出産前に、妻のお姉さんの出産に付き添っている経験があります(分娩室の前で待ってるだけですが)。お姉さんの出産との違いと比較した感想も含まれているのでご了承ください。
出産=血をイメージして躊躇する方がいらっしゃると思います。出産に立会うかどうか決めかねている方の参考になるかもしれないので、私の立会いの経験を記載したいと思います。
初めに伝えておきますが「出産の立会いは全然グロくない」です。血が苦手でも基本的に見えません!!
そしてもう一つ知ってほしいのは、出産で大変なのは分娩室で立会う前の陣痛からです!!分娩室に入るということはもう赤ちゃんが出始めているということなので、すんなり終わる可能性がありますが、陣痛は長時間激痛との戦いになる可能性があるため陣痛が始まった時から一緒に付き添う事をオススメします。
分娩室でずるんと赤ちゃんがでてくる時、どんな状態?
妻のお姉さんの出産に付き添った時は分娩室の前で待機していました。その時聞こえてきた機械的な音やゴポゴポ…という音が若干トラウマになっていたので引き気味だったのを覚えています(どうも吸引だったようです。バキュームで赤ちゃんの頭を吸って出す感じ)。
しかし実際に立会いが始まるとそんなことはすっかり忘れてしまっていました。
出産中は分娩台に座っている妻の背もたれ側に付き添う形になります。下半身部分はバスタオルで隠してあるので妻すらもどうなっているか確認できません。うまい感じで隠してあるので何をやっているのか一切わからないようになっていました。
しかしバスタオル一枚で隔てられているだけなので、女産婦さん達のやり取りや出産時の音はハッキリと聞こえてきます。
産まれる瞬間
妻がいきんでいる最中、担当医の方がタイミングを見計らって”会陰切開”、つまり赤ちゃんが出てくるところをハサミでバツンと切りました。一度切っただけでは上手く出てこなかったようで何度か切っていたようです。通常は3箇所ほどらしいのですが妻は5箇所切られてしまったようです…これはちょっと多いらしいですね。担当した先生の腕や、赤ちゃんの出やすさで変わるようです。
出産=血のイメージがあると思いますが、血が出るのはこの切開のタイミングです。正直いつ切ったかもわからないほど手際よくやられていました。流れ出た血を回収しているはずですがまったく気づきませんでした。
そしてついに赤ちゃんが出てくる瞬間!産まれた赤ちゃんが首を掴まれて掲げられます。
正直な感想を言いますと…「なんか汚いな」です。全然スプラッターではありません。サザエとかエスカルゴ、ヤドカリなど貝を被った生き物の中身…という感じでした。ぬるぬるとしててテカっています。へその緒は思ったより太く、そしてちょっと緑がかった色をしてウネッていました。
産まれるまでに25時間…緊張の糸が切れたのかスッと力が抜けたのを覚えています。産まれた喜びよりも、頑張ったねお疲れさまという気持ちと無事に産まれてくれた安堵が大きかったです。
赤ちゃんが産まれた直後は病院の人も増えて慌ただしくなります。そんな中、軽く記念の写真を撮ってもらい、少しの時間だけホカホカ赤ちゃんを抱けました。
出産直後は検診してから再びご対面
産まれてすぐに赤ちゃんは回収されメディカルチェックを受けます。うちの子は出産時にうんちを少量飲み込んだようで洗浄されたようです。
息子のメディカルチェック中に妻の治療(切開箇所を縫う)もあるので別室に移動になり一旦解散。10数分後に再び合流です。
私達の場合はちょっとした休憩室のような場所で静かに対面できました。この時に家族がいれば一緒に時間を過ごすことができたのだと思いますが、うちは集中して産みたかったので親には来てもらわず産まれた赤ちゃんと3人だけでまったりとした時間を過ごせました。
産まれたての赤ちゃんが小さなケースに入れられもしゃもしゃと動くさまはとても愛らしいです。赤ちゃんはすごく泣くイメージでしたが声すら上げませんでした。どうやらお腹の外に出たことを気づいていないとのことです。1週間ほどはこの静かな状態が続きます。
30分ほどゆっくりした後、借りている個室に移動して解散となります。下半身が色々とズタズタのはずですが一応歩けるようで自身の足で妻は病室に戻っていきます。
色々な感情が湧きますが、出産に25時間かかったこともありすぐ帰宅して一人祝杯をあげて爆睡します。
陣痛から出産までの経緯
参考になるかもしれないので入院から出産までどういった流れだったかを記載します。
- 自然分娩であること
- 10日ほど予定より早かった
- 1日目の19時頃に陣痛なしでおしるし発生〜2日目の20時頃に出産
- 産婦人科に受付してから出産まで25時間という長時間だったこと
を初めにお伝えしておきます。
余談ですが満月の日でした。
妻のお姉さんの時は分娩室に入って1時間ほどで産まれたので、まさかこんなに時間がかかるとは思いませんでした。
妻自身はおしるしの来た日の朝から寝ていないので、のべ40時間はぶっつづけて起きていたことになります。出産直後は二人共憔悴しきっていました…。
無痛分娩だともっと楽で早く産まれたそうですが、初産で自然分娩だとこれくらいの時間はかかるそうです。といっても後から隣の分娩室に来た人はサクッと産んでましたが…。
※無痛分娩でも個人差があるようです。ちなみに妻のお姉さんは無痛分娩でサクッと産まれてました
どうも赤ちゃんが自分から出ようとしないと産まれないっぽいです。まだまだお腹の中に居たかったのかな。
おしるしがあったのが19時ごろ。陣痛は無いが病院へ向かう
その日の朝から違和感は感じていたようです。陣痛は始まっていないので妻を残して私は出勤していきます。連絡があればいつでも駆けつけられるようにしていたのですが、仕事が終わるまで特に何もありませんでした。
今だからこそ、この日の昼は仮眠してくれていたら良かったなぁと思います。本人はソワソワして寝る余裕はなかったようですが、次の日の20時まで寝れない事を思うとこの日の昼しか寝るタイミングはありませんでした。
帰宅後にすぐおしるしっぽいものがあったと妻から報告を受けます。病院からは陣痛が始まったら来るように言われていましたが安全を期して病院に向かうことにします。病室の準備など落ち着いてできたので早めに病院へ向かったのは正解でした。もし陣痛が無く出産がずれ込んだ場合は入院費用が+日数分加算されますが日1万円くらいなのでケチるより安全を選びました。
病室が準備されると全ての荷物を運び入れ妻はベットに寝転がります。すでに体調が変わってきているのを感じました。病室は個室を借りたので二人きりで長時間過ごせます。親族一人のみ泊まり込みもOKで付添人が寝れるスペースもあり、テレビ・ネット回線も完備され快適でした。
その日は夜中まで付き添っていましたが本格的な陣痛は始まりませんでした。ですので一旦私は帰宅し朝5時くらいまで仮眠を取ります。
そして早朝に病院へ付くと本陣痛で叫ぶ妻の姿が…。
陣痛との戦い!6時〜20時まで14時間全力
分娩室で赤ちゃんを産むときよりも本陣痛が苦痛でたまらなかったそうです。いきむ段階になると大変ではありますが、本陣痛で骨盤がゴリゴリ開いていく時よりいきむことに集中できるのでいくらかマシになったようです。
陣痛には痛みの波があるのですが、初めは間隔が長く、最終的には30秒〜1分程度の間隔で痛みが発生します。妻は最後の30秒〜1分間隔の陣痛を2時間ほど繰り返していました。
陣痛の痛みが発生している時は肛門辺りがとにかく痛いらしく、テニスボールで力いっぱい押して痛みを緩和させます。私が病院についた6時〜20時まで陣痛が繰り返されたので14時間もの間、相当な回数の陣痛を繰り返したことになります。
陣痛のたびに妻は叫びます。休憩できるのは陣痛の波が収まっている僅かな間だけ。本当になんて体力だと感心しました。この陣痛を見ているので赤ちゃんが生まれた時、赤ちゃんより妻を労いたいという気持ちが先行したわけです。
陣痛中は助産師さんが付き添ってくれマッサージやテニスボールの押し付けをしてくれます。私はほとんど頭を撫でたり手を握るだけでしたが、たまに私も助産師さんと同じようにマッサージやテニスボールの押し付けを手伝います。
分娩室でいざ出産
陣痛が始まっていても分娩室へすぐには行きません。子宮口が開くまでとにかくひたすら陣痛を耐えます。この時間は人によって個人差があるようです。
ちなみに妻は結局自然には破水せず、分娩台でいつのまにか強制的に破水させられていたようです。
見ていたのは妻の姿と時計の分と秒針だけ、正直いつ向かったのか覚えていませんが分娩室へ移動します。分娩室へ移動する前にあと100回の陣痛で産まれるよってセリフを3回くらい言った記憶は残っています。
分娩室へ移動したということは子宮口が開いたので、いよいよ赤ちゃんが出てくるよってタイミングになります。ここから数時間また陣痛といきみの時間が始まります…。
分娩室でもひたすら陣痛に耐える長い時間を過ごしたことを記憶しています。疲れすぎて記憶が曖昧になっていますが、分娩室に入ったときには陣痛の間隔も1分ほどになっており、常に叫んでいる状態です。
どれくらい時間がたったでしょう…先生が促進剤を打ちました。このあたりから本格的な”いきみ”が開始されいざ赤ちゃんをひねり出します。
ここから私にも重要な役割が出てきます。いきみ逃しっていうのですかね?奥さんがいきむ時に上半身を抱えて思い切り状態を起こしてあげます。これが結構な力がいります。陣痛に合わせて赤ちゃんが産まれるまで何十回、何百回と行います。非常に体力がいる作業です。
妻はいきむ感覚が上手くつかめなかったらしく、初めはすごく力を入れすぎていたようです。それも何度か繰り返すうちにうまくなっていき、子宮口から赤ちゃんの頭が見え始めたと先生が教えてくれます。
赤ちゃんの頭が見えてきたらラストスパート。そして切開のタイミングでもあります。切ったら出るのではなく、出そうになる時に切って一気に赤ちゃんを引っ張り出すという感じでした。うちの場合は頭が見えてからでもなかなか出てきませんでした。子宮口から出る時は赤ちゃん自身が身体をねじって出てくる必要があるようで、どうも赤ちゃんに出る気がなかったようです…。
苦闘の末、ついに赤ちゃんが産まれ記事の冒頭の内容に戻ります。
出産に立ち会った感想
生命の神秘だとか…なんでしょう綺麗な想いは湧きませんでした。感動して涙することもありませんでした。ただただ「無事で良かったね」という気持ちで笑顔になります。
赤ちゃんに対してよりも奥さんとの絆は深まった気がします。そして「奥さん凄い」ともなります。
妻のお姉さんの出産の時は尊い命という印象で綺麗な想いでしたが、実際に立会うと感じ方が全然変わるものですね。
立会いを迷っている方は怖いことは何もないので、率先して立ち会う事をオススメします。
ただし体力がそれなりに必要です。奥さんはもちろん、私も仕事が終わってから続けて付き添っているので旦那側もかなり消耗します。
立会に準備しておいたほうが良いこと
- いきみの練習(旦那はいきみ逃し)
- 旦那の心構え
事前に練習していればもっとスムーズに出産できたのではないかなと出産を終えたあと感じました。
そして旦那の心構えですが”余裕の心を持つ”ことが大事だと思います。オロオロせず、どんと横にいれば良いのです。どうせ大したことはできないのですから…。
私は「別に自分が痛いわけじゃないし」という気持ちで無言で頭を撫でるか肛門にテニスボールを押し込んでました。後は水を口に持っていく保水係です。
そういえば居たことに意味があったか聞いてません。もしかしたら邪魔だったかも(笑)
最後に
妻はもし次産む機会があるなら絶対に無痛分娩にすると言っています。これは産婦人科によって方針が異なるので予め調べておいたほうが良いと思います。
個人的には自然分娩で良かったんじゃないかなとは思っています。妻は大変でしたけどThe出産って感じで絶対に忘れない重要な思い出になりました。
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